2010年の大晦日、紅白歌合戦初出場のクミコが唄う「INORI~祈り~」、この歌は、2才で被爆し12才で白血病で亡くなった少女、佐々木禎子(さだこ)さんと折り鶴がモチーフだ。USEN演歌リクエストチャートで、4度にわたり1位を獲得、12月8日には朝日新聞の天声人語でも取り上げられた。
千羽おれば病気が治る
病床の禎子さんは、悪化する病状、死が近づく恐怖と戦いながら、千羽おれば病気が治る、また家族と一緒に暮らせる、と信じ、薬の小さな包み紙で、一羽一羽ていねいにおり続けた。死の直前になっても、借金を抱えた両親を気づかい、高額な痛み止めの注射を使わせまいと、痛みをこらえ、父の「何か食べたいものはないか…」との問いかけにも「お茶漬けがほしい」と、お金のかからぬよう気を遣い、そして最後に「ありがとう」の言葉に感謝をこめ、禎子さんはこの世を去りました。
原爆の子の像
禎子さんの死後、同級生たちが、禎子さんや原爆の犠牲になった子供たちの像をつくるために、募金活動を始め、それが全国に広がった。広島平和記念公園にあるあの「原爆の子の像」、大きな「折り鶴」を頭上に掲げた少女の像のモデルが禎子さんだ。
童話になって出版
この佐々木禎子さんの物語が、童話となって出版された。書籍のタイトルは、クミコの歌と同じ『INORI-いのり-』。この物語には、生きたくても、生きられなかった、ひとりの少女の思い、少女と、少女を取り巻く人々の思いやりの心が描かれている。
タイトル:『INORI-いのり-』
原爆の子の像」モデル 佐々木禎子さん物語
著者名:綾野まさる
体裁:A5版・上製・184ページ
定価:1,260円(本体:1,200円)
戦争の理不尽さと悲しみを圧倒的な歌唱力で歌いあげた名曲『INORI-いのり-』、サウンドと同時にその物語を伝えていくことも、子供たちの情操を豊かに育てる為に大切だ。
『INORI-いのり-』